スキマ理論エクスプロールブック 全文

 

 

スキマ理論 エクスプロールブック

 

Sukima Theory Explore Book2017

桧山 尚子

オープンハートインスティチュート

 

 序

 

「 我々は探求をやめてはならない。

そして、我々のすべての探求の最後は、

初めに居た場所に帰ることであり、

その場所を初めて知ることである。 」

T・S・エリオット

 

「 稽古とは一より習ひ

十を知り

十よりかへる

もとのその一 」

千利休

 

「 学ぶとは、知識を他者から伝達される

=間接知から

自らの内面でただ分かるという

=直接知へ

変化することである 」

桧山尚子

 

 

 

 

 

スキマ理論エクスプロールブックの使い方

 

このエクスプロールブックには、わたしが発見し考案した生活の知恵、

「スキマ理論」の概要と活用法が載っています。

知恵とは人が生活の中で探求した足跡です。

そして、知恵とは普遍的であるだけでなく、かつ具体的であるべきです。

スキマ理論を日常生活でわたしがどのように取り入れているかを

例を挙げて具体的に記してあります。

このエクスプロールブックを読み、毎日の生活の中でスキマを意識して

日常を送っていけば、自然と今を生きることになります。

それこそがわたしの日常であり、皆さんに体験して頂きたいことなのです。

 

このエクスプロールブックの内容はすべてパブリックドメインです。

この本の内容は自由にコピーして配布、利用することが出来ます。

このブックの内容はキンピラごぼうのようなものだと私は考えています。

キンピラごぼうは誰のものでしょうか。レシピには著作権がありません。

わたしがキンピラごぼうを口に出来るのは誰のおかげなのでしょうか。

わたしは一体何人の方にお礼を言うべきなのでしょう。

キンピラごぼうを考案してくれた人も、それを作って誰かに食べさせてくれた人も、それを美味しいと人に伝えてくれた人も、すべてが必要でした。

そうやって、知恵は使える状態でわたしのところまで伝えられました。人の愛と感謝の連なりでわたしのもとまで届けられたのです。

趣旨にご配慮いただき、このブックを人間の成長のために活用して頂けたら、幸いです。営利・非営利に関わらず、現在および将来利用可能なすべての媒体により、スキマ理論エクスプロールブックの一部および全体の複製を許可します。                                                                                                   桧山 尚子

 

 

  

 

スキマ理論のわたしボックス

 

 

スキマ理論では、人の内側で起きていることをシンプルな図で表します。

すると、わたしの内面で起きていることについて誰かと話し合うことができます。

 

スキマ理論では、わたしをボックスで表します。

世界(=わたしを取り巻く環境)は、画用紙全体で表しています。

 

 

様々な刺激が世界からわたしへ入ってきます。わたしはそれを反応として世界に返しています。

 

こんな風にね。

 

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わたしは、人生のあらゆる瞬間をこう捉えています。

毎瞬、わたしは世界から刺激を受け取り、わたしというボックスで何かが起こり、それによってわたしは反応を世界に返しています。

 

 

世界から刺激が入ってきた後、

わたしボックスの中で何が起きているかをみていきましょう。

 

 

 

わたしボックスに入った刺激を最初に受け取るのは、なんでしょうか?

               五感です。

五感で刺激を受け取った後、わたしの内側ではなにが起こるでしょうか?

               感情や思考が湧いてきます。

こんな感じになりますね。

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わたしは、人生のあらゆる瞬間をこう捉えているのです。

 

 

つまり…  世界(=わたしを取り巻く環境)は、五感を通してわたしに入ってくる

 

ということですね。当たり前のことです。

ですが…、ほんとうに理解できているのでしょうか?

 

 

世界は五感を通してわたしに入ってくる

世界は五感=視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚という5つのルート以外では、入ってこない。

 

 

 

世界(=私たちを取り巻く環境)からの刺激は、五感という5つのルート、

つまり、見る・聞く・匂う・味わう・触る、

以外のルートでは何も入ってこないということです。

 

わたしはこのことに気づくまでは、

嫌なことや、つらいことがあると、世界がわたしを直接攻撃してくるように感じていました。嫌なことやつらいことがわたしの内側を直に傷つけているように感じていたのです。

でも、それは違いました。

 

世界は、いきなりわたしの頭の中や心の中に飛び込んできたりしていなかった!わたしが、見る・聞く・匂う・味わう・触る、のいずれかで世界を受け取っていたのです。

 

例えば、悪口を云われた時、心ない言葉で傷つけられた時、

わたしは五感(=視覚と聴覚)で、その人の表情と声を受け取っています。

五感で受け取った刺激によって、感情と思考が湧いてきます。

それは、悲しみだったり、怒りだったりです。

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わたしというボックスの      前半分で世界を受け取り、

                                          後ろ半分でそれが何かを判断する。

この一連の流れは瞬間に起きています。

あっという間、1秒もかかっていません。0.001秒くらいでしょうか。

 

そのため、わたしは気づけなかったのです。

あまりにも一瞬なので、世界から痛みやつらさがわたしの中へ飛び込んできたように感じたのです。わたしボックスの中では前半分と後ろ半分で異なることが行われていました。

 

わたしボックスの前半分は、感じる。

五感は感じる部分です。

 

では、わたしボックスの後ろ半分は何をしているのでしょうか?

五感から受け取った情報から、感情と思考を生みだしています。

 

  感情と思考は、五感の情報を元に生まれる

 

 

そのことに気づいた時に、五感の重要性に気づきました。

 

  五感が歪んでいたら、ありのままの世界は受け取れない

 

五感はそれほどまでに重要だったのです。

最初の情報が歪んでいたら、そこからの判断も歪んでしまいます。

 

そこでわたしは自分に問いかけてみました。

 

・世界をそのまま感じとるにはどうしたらいいのだろうか?

・五感が歪んでいるかどうか、チェックできるだろうか?

・先入観なく、全てをただありのままに受け取れるようになるのだろうか?

 

「先入観?先入観って、思考だよね…。あれっ?」

そうです!

「五感」と「感情や思考」はセットになっていて、切り離すことが出来ないほど結びついていました。

 

いつも小言を云う人の声は、聞いただけで瞬時にイライラが湧いてきます。美味しそうなケーキは見るだけで和んできます。

「五感」と「感情や思考」は、分けることが出来ないと気づいたのです。

 

   「五感」と「感情や思考」は、分けることが出来ない

 

それは困ります!

だって、世界を歪んで捉え続けてしまうから!

本当の世界を受け取ることが出来なくなってしまう…。

 

それは嫌なんです。

せっかく生まれてきたから、そのままの世界を感じたいんです。

そう思ったわたしは、良いことを思いつきました。

 

「五感」と「感情や思考」の間に何かを差し込めば、切り離せるかもしれない!

こんな風にね。

 

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スキマを入れてみました。

スキマがあれば、五感をただ五感として感じられるだろうと考えたのです。

 

スキマとは、例えば

寒い日にお風呂に入った時の、あの瞬間のことです。

「あ~~~~」、なんか変な声が出てしまうほどの気持ち良さのあの時、

言葉が出てこないほどの快感の時、スキマに入れます。

 

スキマとは、

凍えた肌にお湯の温かさを感じる、と

「気持ちいいなあ~」と心の中で言葉が上がってくる、

までのスキマのことです。

 

五感で感じて、心の深い部分から言葉が上がってくるまでの数秒間。

言葉をすぐに昇らせないで、数秒間ただ自分と居るという感覚です。

 

スキマは言葉のない世界です。

ちなみに、五感も言葉のない世界です。

五感で受け取った情報をわたしたちは言葉で表現しますが、五感そのものは言葉は使いません。ただ、感じているだけです。五感ですから。

 そして、五感はジャッジもない世界です。そこに判断はありません。

ただ、感じる。それが五感の役割です。

 

 

そうして、わたしはスキマ生活をするようになりました。

スキマとともに日常生活を送るのです。

スキマを入れて、五感を五感として感じてみると、

なんでもない日常の行為に不思議な満足感を感じるようになっていきました。

 

それは、

散歩の途中に鳥の声の美しさに思わず立ち止まったり、

洗い立てのシーツの感触が気持ち良くて、しばらく撫でていたり、

今までしなかったふるまいをするようになっていったのです。

 

 

 

 

 

 

わたしボックスの前半分と後ろ半分

 <前半分~五感とスキマだけが、今>

<後ろ半分~感情・思考はすべて過去>

 

 

 

わたしは、わたしの内面を箱に見立てて、その中で起きていることを観察してみました。

 

前半分は「五感」。後ろ半分は「感情や思考」です。

こんな感じ。

 

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わたしというボックスは、

世界から刺激を受け取る→五感で感じる→感情や思考が湧く→反応する                                       という一連の流れを瞬時に行っています。

 

以前のわたしには、中で何が起きているのか、区別することが出来ませんでした。

 

でも、「五感」と「感情や思考」のあいだにスキマを入れると、中で起きていることを少しずつ区別することが出来るようになりました。

スキマを意識して生活していると、次第にいろいろなことに気づくようになってきたからです。

 

一度嫌な思いをした場所に近づかないのは、なぜでしょう。

それは、視覚嫌な思いがセットになっているからです。

「感情や思考」にとって、その場所は嫌な思い出のある嫌な場所。

「五感」にとっては、その場所はその場所なはず。ただの風景と同じはず。

 

でも、わたしがその場所を見ると、瞬時に嫌な思いが蘇ってきます。

 

    五感と過去の感情はセットになっている

 

だから、スキマ。

スキマを入れてみる。

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スキマを入れて、もう一度見てみる。

スキマに居たままで。一気に後ろ半分に進まないで、もう一度見る。

 

すると、その場所は違って見えるのです。ちょっとだけ違って見えます。

嫌な思いを無理に消すことはないでしょう。嫌な思いは嫌な思い出として取っておきましょうよ。

でも、五感は五感のまま、その場所を見るだけでいいと思うのです。

 

そうやって気づいてみれば、わたしの五感は自由ではなかったのです。

前半部分は、後ろ半分から大きな大きな影響を受けています。

 

 

     五感は自由ではない

 

わたしはそのことを知りませんでした。

五感は、きちんと感じるままに感じていると思っていました。

でも、そうではなかったの。

 

 「五感」は「過去の感情や思考」の影響を受けている。

 

こんな風にね。  

 

 

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だから、スキマを入れてみる。

もう一度、五感で感じ直してみる。

 

すると、よく知っているものでも

見た感じ、音、匂い、味、感触が今までと変わってきます。

 

そのため、スキマを意識して生活すると、

散歩の途中に鳥の声の美しさに思わず立ち止まったり、

洗い立てのシーツの感触が気持ち良くて、しばらく撫でていたり、

今までしなかったふるまいをするようになっていったのです。

見た感じ、音、匂い、味、感触が今までと変わってきたから。

 

今までと?今までって…、過去だよね。

つまり、過去の基準でいつも見ていたんだ。過去の基準で感じていた。

 

    「五感」は、「過去の感情や思考」を基準にしている。

 

では、「過去の感情や思考」に影響を受けた「五感」で感じたものは、何?

 

やっぱり過去、だと思う。五感が過去になってる。

今のあたしが居なくなっちゃった。どうしよう?

 

こうしよう!

スキマを入れてみました。

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これで、今に居られる。

つまり、わたしボックスの前半分は今で、後ろ半分は過去なのです。

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   こうすればいい、こうしたら危険、この方が早く出来る、

   こっちの方が損、は全部過去から来ています。

   それは、過去の経験や受けた教育から作られています。

   基準・概念・感情・思考はすべて過去と言えます。

 

 

「感情や思考」が過去なのだとしたら、

それに影響を受けた「五感」も過去になる。

今のわたしは居ない…。

 

でも、スキマを入れて、

「過去の感情や思考」の影響を受けていない「今の五感」で感じられたら、

わたしは、「今の感情」「今の思考」を持つことが出来るかもしれない。

 

スキマに居るのがもっとふつうになれば、きっといつか今の感情と今の思考に出会えるような気がする。

 

  

 

 

 

各種パターン別の図解

  

わたしは自分の内側で何が起きているか、だんだんと理解してきました。

そして、わたしボックスという見方で過去の自分を振り返ってみました。

 

そうすると、なぜあの時とても苦しかったのか、なぜあの時は言えなかったのか、過去の自分の感情や行動を理解することが出来たのです。

わたしボックスの色々なパターンをみていきましょう。

 

今までのわたしパターン

 

『今までのわたしパターン』は、ボックスの外を通っていました。

外を通るとは、つまり

 

五感で感じていない。

自分の感情を受け取らない。

自分の考えを持たない。                                ということです。

 

こんな風にね。

 

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わたしは、このパターンがとても上手でした。

この赤い線で書いたルートを何本も持っていて、状況に応じて使い分けていました。この刺激が来たらこのルート、あの刺激にはこっちのルートというように。

ですから、わたしは周りからとても信頼されていました。刺激に対し適格に反応を返すからです。

 

適格な反応って…適格って…

 

そう!過去です。今の自分ではありません。

 

わたしはこの①のパターンを長いことやってきました。

すると、何が起こるかというと、自分の内側がむなしくなっていくのです。

今の自分で感じていないとむなしいのですね。環境はすごく恵まれていて不幸ではないのに、何かいつも不足感がありました。

 

なぜなら、それは条件反射だったから。

今の自分で生きてなかったから。

でも、あの頃には気づけていませんでした。

五感で感じていると思っていた。

自分の考えを持っていると思っていた。

 

ただ一つ気づいていたのは、感情についてでした。

自分の感情を封じ込めているということには気づいていたのです。

湧いてきた感情を抑えていました。

「つらい」「悲しい」「ゆっくりしたい」「誰かに任せたい」

 

それを、思考で押さえつけていました。

「我慢しないと」「仕事だから」「規則だから」「他の人より頑張らないと」

 

自分の内面で何が起きていたのか、スキマに居ることが出来るようになって初めて理解できたのです。

 

 

 

気づいたわたしパターン

  

「五感」と「感情や思考」のあいだにスキマを差し込める、スキマに居ることができる!

そう『気づいたわたしパターン』です。

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始まりは条件反射の五感を感じてしまうのはイ)のパターンと同じです。

違うのは、意識してスキマに居ようとしている点です。

 

すると、今の自分で感じていないことに気づくことが出来ます。そして、もう一度今の自分で感じ直してみようとする。すると、今のわたしの感情を受け取ることができて、今のわたしで選択することが出来るようになっていきました。

 

それは、新鮮な感覚でした。

今まで興味のなかったことをやってみようと思えたり、ばかばかしいと思っていたことが心底楽しめたりしました。

 

でも、いつもいつもは出来ないのです。いつも気づいたわたしパターンで生活することは出来ないのです。たまに出来るくらいで。

 

好きなことを安心した環境で自分のペースでできる場合にのみ、ロ)で出来ました。日常生活の中では、イ)の赤い線を通っている方がずっと多かったのです。

 

 

 

 

現在のわたしパターン

 

わたしはいまだに、イ)ロ)のパターンを通っています。

ですが、とても少なくなりました。イ)ロ)を自分の意志で選んで使っています。

例えば、車の運転はイ)で。時間がある時に料理をするときはロ)で行こう!というように。

 

今のわたしは、この現在のわたしパターンがほとんどを占めています。

こんな感じです。

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始まりはイ)と同じ条件反射で感じていて、スキマに居ることも忘れていて、

感情が湧いた時に初めて「あれ?わたしはスキマに居て感じてたかな?これは過去の感情?今の感情?」と気づくのです。そして、もう一度スキマに居て、感じようとしています。

すると、今のわたしの感情が湧いてきて、今のわたしで選択できるようになりました。

 

わたしにとって感情は、とても良いシグナルになっています。

 

例えば、嫌なのに断れなかったとき、

「うん。」と言ってしまうのは条件反射です。でも、感情が「やっぱり嫌だよ…」と気づかせてくれるので、もう一度嫌なことを今の五感で感じ直してみます。

 

 

今の五感で感じ直して、「やっぱり嫌」なら断る。

今の五感で感じ直して、「あれ?そうでもないかも。」ということも結構あります。

 

 

わたしは、ずっと「うん、いいよ。」も「いや。」も条件反射でやってきました。

今、わたしの条件反射を止めてくれるのは、感情です。

感情があるから、わたしはスキマに居ない=今に居ないことに気づけるのです。

 

今、このハ)のパターンでわたしボックスを通れるようになって知ったのは、

行動そのものがわたしを満たすのではなく、わたしボックスの中をどう通ったのか、によって満たされた感覚を感じているのだということです。

 

 

  

 

 

Topic

『ゴキブリとカナブンが同じになる日』 

スキマ生活(=スキマに居ることを意識した生活)をしていると、いろいろな発見が出てきます。自分の妙なこだわりの理由が分かったり、普段は忘れていること、例えば子供の頃大好きだったものなどを思い出したりします。

最近で、最も驚いた衝撃の発見は、ゴキブリに対する嫌悪感についてです。

わたしはそれまでは、ゴキブリを見つけると、殺虫剤を吹きかけて殺していました。気の毒だなとは思っても、一緒に生活することなどできません。対面すれば、素早く事務的に対処していました。

そんなある日、久しぶりにゴキブリとご対面しました。思考では、「すぐ、殺虫剤を取りにいかないと!」と考えるのですが、わたしはただ驚愕の思いでゴキブリを見つめていました。ゴキブリに対し嫌悪感が湧かなかったからです。それは、想像を絶する衝撃の体験でした。ゴキブリと嫌悪感はセットであり、切り離すことは無理だろうと思っていたのです。それが、ない!という驚き。驚き過ぎて、固まったわたしとなぜか同じように動かないゴキブリが見つめ合うこと数秒。そして、わたしは悟ったのです。「嫌悪感がないものを殺すことは無理だな」ということに。ゴキブリは同じ命を持った生き物だからむやみに殺してはいけませんとか、ゴキブリにも家族がいるんだろうな、とかゴキブリを思いやった訳じゃないのに、嫌悪感がきれいさっぱり消えていた今のわたしに、目の前のゴキブリは殺せないんだということが分かりました。そして、困りました。つい、ゴキブリに話しかけていました。「出て行って欲しいんだよね」

ゴキブリはなぜかその場を動かず、触角を動かしてじっとしています(考えているようにも見えましたが)。わたしは殺すことはあきらめて「これはカナブンと同じ扱いをするしかない」と心を決めました。使い捨てのプラカップを取りに行き、戻ってきてもやはりじっとしているゴキブリにカポッと被せて下から紙を差し込み、お外に連れ出しさようなら~。

面白い体験でした。まさかわたしにそんなことが起きるなんて。でも、次にゴキブリを見た時に何を感じるかは分かりません。その時の五感でただ感じてみようと思います。ゴキブリに出てきてもらっては困るけど、その時に自分がどう

感じるのか知りたくて、出てきて欲しいような妙な気分でいます。

   

 

 

 

スキマ理論はたったの4ステップ

 ここまでスキマ理論の概念をお伝えしてきました。

この章では、実践的な方法をお伝えしていきます。

 

スキマ理論はたったの4ステップです。

  • 気づく
  • 戻る
  • 直す
  • もうしない

これだけです。

スキマ理論のわたしボックスを理解したら、作業としては以上の4つを行うだけ。

ひとつずつ見ていきましょう。

 

①気づく

 

スキマに居ようと意識することです。

それだけで、今に居ないことに気づくことができます。なぜなら、スキマに居ようと意識するだけで、わたしボックスの外を通り、一気に後ろ半分に行ってしまったことに気づけるからです。つまり、やるべきことはスキマに居ようと意識する、それだけです。もし、一気にわたしボックスを通って反応を返してしまっても大丈夫。感情が教えてくれます。感情が湧いた時にはスキマに帰ってきてください。

 

②戻る

 

戻るとは、五感で今を感じ取ろうとすることです。前章の図解 ロ)ハ)にあった矢印のように、気づいたらわたしボックスの前半分に戻って、今の自分で再度感じてみることです。

 

 

③直す

 

これは、感情に居場所を与えるということです。あるべき場所に直すという感覚です。

前章の図解イ)の条件反射のような生活をしていると、感情は生まれても受け取ってもらえないので、居場所がありません。感情の種類にかかわらず、感情を受け取らない状態はとてもつらいことです。ただ、受け取ってください。それがどこから湧いてきたのか、良い感情か悪い感情かという分析はしなくていいです。倉庫に投げ込まれた荷物のように、中を開けてこれは鉛筆ですね、これはノートですね、と見ればいいです。それで居場所を与えたことになります。

 

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④もうしない

 

これは、その行為をもうしないという意味ではありません。

「自分と居ない」「自分で居ない」ということをもうしないのです。

そうはいっても、「自分で居ない」瞬間を何度でも繰り返してしまうでしょう。

大丈夫です。そうしたら、何でもやり直してください。いずれ出来るようになっていきます。

スキマ理論の実践は、この4つのステップを実行するだけです。

  • 気づく
  • 戻る
  • 直す
  • もうしない

 

この4つのステップは簡単にいうと以下の通りです。 

  1.  気づく     スキマに居ようと意識する
  2. 戻る      気づいたらボックスの中に戻る
  3. 直す      感情に居場所を与える
  4. もうしない   ボックスの外に居ることは、もうしない 

 

 

そして、苦しさや悲しみを感じた体験のあとで、自分がボックスの中をどう通っていたのか、思い出してみて下さい。

そして、楽しさや嬉しさを感じた体験のあとでも、自分がボックスの中をどう通っていたのか、思い出してみて下さい。

 

その繰り返しが、わたしに今を感じさせてくれています。

 

 

 

 

 

 

 

 

中庸=それは好きと嫌いを今、感じとること

 

 

スキマ理論を意識して生活していると、いろいろな思いを知ることになります。

やがて、自分自身について深く知ることになります。過去の感情の意味、あの行動をとった訳が自然と深みから湧き出るように、知ることになります。

 

それは、ほんとうの好きと嫌いがはっきりしてくるということです。

 

今感じている(つもりの)好きが、今の好きでなく過去の感情からきていた。

過去、手に入らなくて我慢していたから、すごく好き。

過去、憧れの人が好きだって言ってたから好き。

過去、これが貴重なものだと聞いたことがあるから好き。

 

それは、今でなく過去です。過去の影響を受けた五感で感じた、好き。

だから、意識してスキマに居てもう一度感じてみましょう。

それでも好きなら、今好きだと言えるのです。

 

こうやって、今をあらためて感じることをしていくと、予想以上に好きと思っていたものが今は好きでなかったりして驚かされます。

 

嫌いは、

過去、悲しい思いをしたから嫌い。

過去、嫌われている人がよくやっていたことだから嫌い。

過去、人に笑われたことがあるから嫌い。

 

好きも嫌いも、過去の感情と思考の影響を強く受けています。

スキマに居て、今を感じようとしているだけで、それを切り離すことが出来ます。

 

そして好きがどんどん少なくなっていくのです。

そして、嫌いもどんどん少なくなっていくのです。

あれ?

気づけば、好きでも嫌いでもないということが増えていきます。

好きでも嫌いでもない=どちらでもいい、という範囲が増えていきます。

そして、少なくなった好きがよりハッキリしてきます。

少なくなった嫌いがより際立ってきます。なぜ好きか、どこがどのように嫌いか、が以前より明瞭になっていくのです。

 

どちらでもいい、という範囲は、中庸と呼ばれています。

好きや嫌いは両極です。端っこと端っこ。

スキマ生活をしていると、両極の間に広い中庸の部分を持つようになります。

中庸は、なにも無いのではありません。両極は好きか嫌いかの一方しか持っていません。でも、両極の間の中庸は、すべてを持っています。

 

中庸は好きも嫌いも同時に存在させているところです。好きも嫌いもあるのにどちらでもいいのです。中庸とは、今はどちらでもない、というものです。

次の瞬間には好きになっているか、嫌いになっているか分からない。でも、その瞬間まではどちらでもいい、のどちらでもいいなのです。

 

人間は中庸の生き物です。繊細なそして影響されやすい五感と豊かな感情に複雑な思考を持った生き物です。その強大な力を中庸の状態に保ち、今に居ることがバランスを取るための方法だと思います。

 

中庸=好きも嫌いも存在させた上でのどちらでもいい、はほんとうのどちらでもいいです。

人は「どちらでもいい」と答える時、「それに我慢できます」「なんとか耐えられます」「最善は手に入らないのであきらめました」という意味で使っていることもあります。

その、どちらでもいいではなく、自分の好きと嫌いをよく見極めた上での、ほんとうのどちらでもいい。それが人間の本質だと思います。

好きも嫌いも過去の産物です。

今を生きている人=ほんとうの自分は、どちらでもいい、に居るのだと思います。

 

 

  

 スキマとは、空である

 

  

どんな考え方も、どんな方法も、全体の一部でしかありません。

それは、例えば一個のリンゴを縦に半分に切って、切り口を見た時のようです。

その切り口からは、リンゴが赤く薄い皮と汁気の多い果肉と芯を持っていることが分かります。でも、一つの切り口から全体を想像するのは難しいことです。もし、リンゴを水平に切った切り口をさらに見ることが出来れば、全体像がより想像しやすくなります。

 

スキマ理論も大きなリンゴの一部を知るための、一つの切り口です。

たくさんの色々な角度からの切り口があれば、わたしたちの想像はリンゴそのものにだんだん近くなっていくでしょう。

 

スキマに滞在することが多くなって分かってきたことがあります。それは、スキマには深度があるということです。スキマはだんだんと深まっていきます。スキマに深く居られるときには、あらゆる感情が抵抗なく受け取れます。悲しみでも怒りでも受け取れるようになっていくのです。

 

以前のわたしは、思考が自分そのものだと思っていました。時には感情が自分そのものだと思っていました。ですが、スキマに居る間に、わたしは過去ではないと分かりました。

 

あなたは思考ではありません。

あなたは感情ではありません。

あなたは過去ではありません。

あなたの本質は今です。

 

 

 <スキマ理論エクスプロールブック  完>

 

【附録1】 五蘊<色・受・想・行・識>の私的解釈

 

わたしは、世界に存在するいろいろなことをスキマ理論の視点から、考えてみています。ここでは、五蘊(ごうん)について考えてみます。

五蘊とは、人を構成する部分の5つのことです。仏教では、人は5つの構成要素から成り立っていると考えているのですね。それを一つ一つ勉強していくそうなのですが、ここではスキマ理論のわたしボックスで表現してみたいと思います。

 

私的解釈だと、こんな感じです。

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色=肉体

受=五感

想=過去の感覚と結びつける

行=過去の思考に関連づける

識=自意識

と、捉えています。

 

想と行の間、行と識の間を切り離すのは難しそうです。

 

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スキマを入れるのは五感の後ろ、という考えは変わりませんね。

煩悩を生みだすと云われている五蘊

自分の五蘊を色々な場面で考えてみるのも興味深いと思います。

 

 

 

 

【附録2】 マクロビオティック哲学の私的解釈

 

スキマ理論を活用すると、ものごとを見る視点が変わります。

ここでは、マクロビオティックの哲学をスキマ理論から考えてみましょう。

 

マクロビオティックには7大意識の食べ方という哲学があります。7段階の食べ方をしていくと、それぞれの段階に応じた判断力が身につくとされています。

これをスキマ理論のわたしボックスで表してみましょう。

機械的食べ方=機械的判断力

②感覚的食べ方=感覚的判断力

③感情的食べ方=感情的判断力

④知的な食べ方=知的判断力

⑤社会的な食べ方=社会的判断力

⑥哲学的な食べ方=哲学的判断力

⑦自由な食べ方=最高判断力

 

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⑦の自由な食べ方は同じわたしボックスに書くことが出来ません。

こうなりますね。

 

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⑦自由な食べ方が出来るとは、①~⑥のすべての食べ方も出来るということです。

 

スキマに居て、今の五感で感じて

①~⑥の食べ方を今の自分で自由に選択することが出来たら、

そのときには、創始者桜沢如一氏が書き残した通り、最高判断力が身につくのかもしれません。

 

 

 

 

 

<最終ページ>

 

著作紹介

「オープンハートbyマクロビオティック」桧山尚子

近代文藝社 ¥1,100(税別)初版のみ著者本人による朗読CD付

前半はわたしのベルギーでのマクロビオティック体験と発見を、後半はそれを題材にした小説を載せています。ご注文はお近くの本屋さんか近代文藝社へ直接ご注文ください。

 

 スキマ理論7日間無料メール講座があります。

申し込みは桧山尚子公式blogからどうぞ。「味覚瞑想 はてな」で検索。

アドレス:http://hiyamanaoko.hatenablog.com/entry/2017/09/14/125247

 

※このエクスプロールブックの内容はすべてパブリックドメインです。

この本の内容は自由にコピーして配布、利用することが出来ます。

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スキマ理論エクスプロールブック

Sukima Theory Explore Book 2017

発行者:桧山尚子

発行日:平成29年12月

著者:桧山尚子

編集・デザイン:桧山尚子